子どもたちを見ていると、
ほんの小さな失敗が、成長の入り口になっていることがあります。
初めての挑戦に失敗して泣いてしまう日。
友達との気持ちのすれ違いで悔しさがあふれる日。
思ったように体が動かず、胸の奥がざわざわする日。
そういう瞬間に寄り添うたび、
私たち 大和高田の認定こども園 で感じるのは、
「失敗は止まる場所ではなく、始まりの場所」ということです。
失敗は、子どもにとって痛くて苦しい経験かもしれません。
でもその奥には、確かに前へ進もうとする力が息づいています。
■ 悔し涙は「成長のエンジン」
外遊びの時間。
鉄棒で前回りをしようとして、手がすべってしまう子がいました。
砂の上に落ちたその子は、悔しさで顔を歪め、しばらく動けませんでした。
保育者は、すぐに助け起こしたりはしません。
「もう一回やってみる?」
その一言を静かに添えるだけ。
すると、涙をためたまま、
その子はもう一度鉄棒へ向かって歩いていきました。
手が震えるほど怖くても、挑戦することをやめなかったのです。
強さとは、泣かないことではありません。
泣きながらでも、自分の足で立ち上がろうとする姿だと感じます。
■ 失敗には、たくさんの意味がある
・悔しさを知る
・できない自分を受け止める
・助けてもらう経験をする
・誰かに励まされる喜びを知る
・できるようになるまでの道のりを自分で歩く
この一つひとつが、子どもにとって大きな学びです。
もし大人が先回りして手を差し伸べ続ければ、
「乗り越える力」が育つ機会を奪ってしまいます。
だから保育園では、失敗を否定せず、
その先にある「もう一回」を応援します。
■ 成長は、できるようになるまでの道のりに宿る
世の中の多くのことは、結果だけが評価されがちです。
「できた」「できなかった」で判断され、
途中の努力や気持ちの揺らぎは見えなくなってしまう。
でも保育の現場では、
できるまでの道のりにこそ価値があると考えています。
昨日より1センチ足を前に出せた。
先週より5秒長くぶら下がれた。
あきらめずに3回目のチャレンジを迎えられた。
そのすべてが、賞状のかわりです。
■ 大人ができるのは「信じて待つ」こと
子どもを育てるとき、
励ますことと急かすことは全く違います。
前へ進むスピードはひとりひとり違う。
じっと立ち止まる時間も、必要な力です。
・すぐ手を出さない
・結果より過程を見る
・「大丈夫」を言葉で伝える
・拍手をするタイミングを間違えない
その積み重ねが、
子どもにとっての大きな支えになります。
■ 最後に
失敗するからこそ、人は強くなれます。
痛みを知るからこそ、やさしさを手に入れます。
悔しい気持ちを経験するからこそ、成長の喜びが大きくなります。
大人の役目は、失敗を避けさせることではありません。
その先にある小さな希望を、一緒に見つけることです。
子どもたちの“もう一回”を、
これからもそっと支えていけたら嬉しいです。