保育園では決して教えてくれない、友達の作り方

2025年12月
  • 失敗の中に、育ちの種がある

    保育園

    子どもたちを見ていると、
    ほんの小さな失敗が、成長の入り口になっていることがあります。

    初めての挑戦に失敗して泣いてしまう日。
    友達との気持ちのすれ違いで悔しさがあふれる日。
    思ったように体が動かず、胸の奥がざわざわする日。

    そういう瞬間に寄り添うたび、
    私たち 大和高田の認定こども園 で感じるのは、
    「失敗は止まる場所ではなく、始まりの場所」ということです。

    失敗は、子どもにとって痛くて苦しい経験かもしれません。
    でもその奥には、確かに前へ進もうとする力が息づいています。


    ■ 悔し涙は「成長のエンジン」

    外遊びの時間。
    鉄棒で前回りをしようとして、手がすべってしまう子がいました。
    砂の上に落ちたその子は、悔しさで顔を歪め、しばらく動けませんでした。

    保育者は、すぐに助け起こしたりはしません。
    「もう一回やってみる?」
    その一言を静かに添えるだけ。

    すると、涙をためたまま、
    その子はもう一度鉄棒へ向かって歩いていきました。
    手が震えるほど怖くても、挑戦することをやめなかったのです。

    強さとは、泣かないことではありません。
    泣きながらでも、自分の足で立ち上がろうとする姿だと感じます。


    ■ 失敗には、たくさんの意味がある

    ・悔しさを知る
    ・できない自分を受け止める
    ・助けてもらう経験をする
    ・誰かに励まされる喜びを知る
    ・できるようになるまでの道のりを自分で歩く

    この一つひとつが、子どもにとって大きな学びです。
    もし大人が先回りして手を差し伸べ続ければ、
    「乗り越える力」が育つ機会を奪ってしまいます。

    だから保育園では、失敗を否定せず、
    その先にある「もう一回」を応援します。


    ■ 成長は、できるようになるまでの道のりに宿る

    世の中の多くのことは、結果だけが評価されがちです。
    「できた」「できなかった」で判断され、
    途中の努力や気持ちの揺らぎは見えなくなってしまう。

    でも保育の現場では、
    できるまでの道のりにこそ価値があると考えています。

    昨日より1センチ足を前に出せた。
    先週より5秒長くぶら下がれた。
    あきらめずに3回目のチャレンジを迎えられた。

    そのすべてが、賞状のかわりです。


    ■ 大人ができるのは「信じて待つ」こと

    子どもを育てるとき、
    励ますことと急かすことは全く違います。

    前へ進むスピードはひとりひとり違う。
    じっと立ち止まる時間も、必要な力です。

    ・すぐ手を出さない
    ・結果より過程を見る
    ・「大丈夫」を言葉で伝える
    ・拍手をするタイミングを間違えない

    その積み重ねが、
    子どもにとっての大きな支えになります。


    ■ 最後に

    失敗するからこそ、人は強くなれます。
    痛みを知るからこそ、やさしさを手に入れます。
    悔しい気持ちを経験するからこそ、成長の喜びが大きくなります。

    大人の役目は、失敗を避けさせることではありません。
    その先にある小さな希望を、一緒に見つけることです。

    子どもたちの“もう一回”を、
    これからもそっと支えていけたら嬉しいです。